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    ~お笑い芸人 ダブルウィッシュ中川様から人生の「決断」と「継続」を学ぶ~
    【後編】応援してくれる人への感謝の気持ちがあるから、「継続」することができる。

ASPIRATION代表のひとり言

2018/12/20

特別企画 | 人生の「決断」「継続」とは何か?
~お笑い芸人 ダブルウィッシュ中川様から人生の「決断」と「継続」を学ぶ~
【後編】応援してくれる人への感謝の気持ちがあるから、「継続」することができる。

私達の人生は、常に「決断」があります。「決断」はそれで終わりではなく「継続」していくことも求められます。
今回、『アジア版「あなたの街に住みますプロジェクト」の芸人』としてベトナムで活躍されているお笑い芸人のダブルウィッシュ中川様に、お笑い芸人として生きていくことを決めた人生の「決断」と「継続」についてインタビューをしました。現在ご自身の「決断」「継続」にお悩みの方は、中川様のお話をご自身に置き換えてお読みいただければ、何かヒントを得ることが出来るのではないでしょうか。今回のインタビュー記事を通じて、皆さまが何か一つでも気付き・ヒントを得ていただければ幸いです。

 

ダブルウィッシュ 中川 新介 氏
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。東京NSC13期生。2008年4月に同郷の井手一博氏とダブルウィッシュを結成。2015年より『アジア版「あなたの街に住みますプロジェクト」の芸人』として、ベトナム・ホーチミン市に拠点を移し、ベトナムで有名なお笑い芸人になるために、ベトナム語でネタを披露するなど日々奮闘中。

 

【前編】本気で好きだから10年間は耐えると決めていた。だから「決断」ができた。は、こちら

ベトナムと日本のお笑いはどのような違いがありますか?

実はベトナムのエンターテインメント業界では、コンビという概念がありません。だからベトナムではお笑い芸人という職業もありません。この仕事の肩書を日本語にすると喜劇役者となるようです。ベトナムのコメディーは吉本の新喜劇みたいな感じですね。あとは番組MCの人がお客さんやゲストをいじって笑いを取るぐらいでしょうか。

だから僕達がコンビでネタを披露していること自体が、今までのベトナムにない新しいことをしていることになります。そういう意味ではベトナムにはライバルはいないので、お笑い芸人という枠ではなく、もっと広い意味で有名になる必要があります。そしてこのベトナムに、お笑い芸人という概念も作らないといけないと考えています。

ベトナムと日本のお笑いの違いは大きい(左:ダブルウィッシュ 中川様 右:弊社代表 福田)

ベトナムと日本のお笑いの違いは大きい(左:ダブルウィッシュ 中川様 右:弊社代表 福田)

お笑いの概念以外にもベトナムと日本の違いはありますか?

細かい点を挙げればたくさんあります。例えば、コンビでお医者さんと患者さんの役を分けてショートコントをする場合、日本だと服装が違っていても話や身振り手振りで、どちらがお医者さんか患者さんかは分かり、コントの内容を理解してくれます。
一方ベトナムでは、お医者さん役の人は、白衣を着て聴診器を着用したりするなどして、見たまんまお医者さんでないとお医者さんとして判断してくれません。だから、衣装も用意せずいきなりショートコントを始めても、ベトナム人の方は「何をやっているのだろう。」という雰囲気になりますね。

ツッコミが受けないのも特徴ですね。ボケを重ねている時は笑ってくれるのですが、その後にツッコミを入れると、サッーとひかれますね。他にも同じことを繰り返すこと(被せ)も受けないですし、一発ギャグも受けにくいですね。

お笑いの文化・概念、笑いのポイントなど日本とベトナムでは全然違いますね。となれば、ベトナム人の方が笑っていただくように自分達を変えなければならないわけですが、今までの自分達のスタイルを変えることへの葛藤などはありましたか?

葛藤はなかったですね。ベトナム人の方に笑ってもらうことが一番ですので、ベトナム人の方の反応を大事にしていました。そのために、ベトナムで何が流行っているのか、若い子が好きな歌などは調べたりしました。

ネタ集めはそのようにするのですが、ネタの見せ方は日本流を取り入れてチャレンジしています。フィリップを用いたりや、歌ネタを披露したりなどしています。僕達は日本から来た日本人ですので、ベトナム人の方に受けるのであれば、日本流も組み合わせて笑っていただきたいなと思っています。

どのようなネタがベトナム人の方に笑っていただきやすいなど傾向はありますか?

歌ネタが盛り上がりますね。ベトナム人の方は歌が好きだからでしょうか。歌ネタで歌を歌うと一緒になって盛り上ってくれるのが嬉しいですね。
だから、ベトナム人と一緒に働かれる日本人の方はベトナムの歌を一曲は覚えておいて、結婚式やテト(旧正月)パーティーで歌うと、ベトナム人の方と距離が縮まるのではないでしょうか。

ベトナム人の方に受けるお笑いをされる中で、最大の壁は語学であるベトナム語だと思います。現在、ベトナムで働く多くのビジネスパーソンがベトナム語の習得に苦労されています。ベトナム語の学習に関してアドバイスをいただけますか?

私の場合は、ホーチミン市に来てから最初の一年間は語学学校に通っていました。今は個人レッスンに切り替えていますが、今もベトナム語の勉強は継続しています。

ベトナム語の学習で苦労するのは発音になると思います。日本語の発音は95音出せれば意味が伝えられるそうですが、ベトナム語は母音だけで72個あり、子音も入れると千何百通りあるそうです。だから発音の練習をないがしろにしてはいけません。
日本人が「ボー」と聞こえる音だけでも意味は35個あります。ちょっとした違いで意味が変わってくるので、発音をきれいに出すということは意識した方が良いと思います。

ベトナム語の学習において、発音が大事だと分かってはいるもけど・・・と思いの方が大半かと思います。何か良い学習方法のアドバイスはありますか?

発音に関して口や下の動かし方は、ベトナム語が話せる日本人から習うのが良いのではないでしょうか。もちろんベトナム人の方が発音自体は上手いのですが、ベトナム人は最初からそれが出来るから、日本人に対して口や下の動かし方の説明が上手くできない点があるかと思います。だから、日本人の口や下の動かし方が分かっている日本人から学ぶのが良いと思います。

ベトナム語の発音を身振り手振りを交えてご説明いただく(ダブルウィッシュ 中川様)

ベトナム語の発音を身振り手振りを交えてご説明いただく(ダブルウィッシュ 中川様)

なるほど!! 口や下の動かし方は日本人から学んだ方が早く理解出来そうですね。質問は戻りますが、ベトナムでお笑い芸人として活動される中で他にも苦労した点はありますか?

日本と違う点としてネタの検閲があります。そのネタを行う1週間前ぐらいには、ネタの台本を提出する必要があります。そこで指摘が入ればネタを修正しないといけないのが大変ですね。どうすればもっと受けるのか、笑ってもらえるかを考え、ネタ見せの直前までネタを練りたいのが正直な気持ちですが。

今でも印象に残っているのは、ベトナムで流行っている曲にネタを入れて披露しようとした直前で、その曲が変更になったことでした。僕達ダブルウィッシュのお客様はベトナム人の若い世代の層が多いので、若い人の間で流行っている曲を持っていきました。しかし、幅広い世代の方がご覧になるテレビ番組の企画なので老若男女に馴染みのある曲に変更すると言われました。
しかし僕達としても、その曲の歌詞の声調に合わせて動物の名前を当て込んでいくネタを披露するつもりでしたので、曲が変更されることには簡単に納得は出来ませんでした。

自分達が計画していたネタの内容が直前で変更されることは非常に厳しいですよね。曲の変更は承諾されたのですか?

そのテレビ番組はベトナムで非常に人気のある番組でした。そして今現在も僕達は、より多くのベトナム人の方に認知していただかないといけない状況だと考えています。曲は違っても僕達のネタが番組でオンエアされることを最優先に考えて、曲の変更を承諾しました。

曲が変更された中で、ネタの完成度としてはいかがでしたか?

メチャクチャヤバかったですね。曲を変えた時点で、その曲の歌詞に動物の名前が上手く当てはまらないのは分かっていましたが・・・

でもこの件に関しても、僕らがもっと成長するしかないのかなと受け止めています。成長とは、語学とベトナムのお笑いを知ることの2点ですね。もし僕達が、ベトナムのお笑いをもっと理解して、その上で「僕達はこのようなお笑いをしたい。」ということをベトナム語で説明できれば、検閲や指摘に対しても上手に議論できると思います。

せっかく自分達の考えてきたネタが変更されたことに対して、どのように気持ちを整理されてネタ披露(本番)に臨んだのですか?

正直、気持ちは複雑でしたね。自分達が面白いと考えてきたネタを変更されるのは嫌ですよ。

でも僕らの仕事って、ミスもネタに出来るじゃないですか。ベトナムでは、ベトナムの失敗ネタが笑いになるかは分かりませんが、少なくとも日本でのトークライブでは使えると思いますので、このような失敗をネタにするしかないですね。失敗も美味しいみたいな感じで。

失敗も前向きに捉えるということでしょうか?

「それ(失敗)をお金にするぞ。」と考えるようにしています。そうでないと、失敗したこと自体が勿体ないですよね。

その考え方は、私達ビジネスパーソンも活かせる考え方になりそうです。先ほどの曲変更のお話に戻りますが、自分達がやりたいことがなかなか出来ない現状に対して、フラストレーションは感じたりしますか? もし感じている場合、その気持ちとはどのように向き合われているのですか?

これは日本で活動していた時から思っていたことですが、自分達がやりたいことは、結局売れてからでないと出来ないんですよね。つまり、世に知られている、人気がある状態でないと自分達が本当にやりたいことは出来ないと思っています。そうなると、まずは僕達がより多くのベトナム人の方に知ってもらい、認知されて有名になることが先です。そこから尖がったこと、僕達が本当にやりたいことをやるつもりでいます。

これはお笑い芸人の世界だけでなくビジネスの世界でも同じではないでしょうか。どれだけ正しいことを主張してもその人に実績や結果がなければ、周囲の人もその人の言っていることに対して認めにくいと思います。だから諦めるのではなく、その主張を伝えるのはまだそのタイミングではないと捉えて、最初は周囲の人に認めてもらうために、小さな実績や結果を残していくのが良いと思います。
そして周囲の人が認めてくれるようになってから自分のやりたいことを主張すると、周囲の人の賛同が得られるやすいのではないでしょうか。

お笑い芸人とビジネスは共通する点がたくさんありますね。今回の企画(『アジア版「あなたの街に住みますプロジェクト」の芸人』)には、その国で有名になるという目標があります。決して簡単ではないその目標に向かう中で、中川さんが意識されていることを教えてくれませんか?

仕事の一つ一つを楽しむことですかね。実際、現場に行くこと自体も楽しいですよ。緊張もしますし、準備もしなければならないので大変な事もありますけど、それも含めて楽しいですね。それは、同じ場所の現場、同じネタを披露しても、全く同じことがまたとないからと考えているからだと思います。

恐らく会社でも、同じ業務をしたとしても全く同じ問題は起きなくて、同じように見えても微妙に違うことはあると思います。それに、いつも全く同じ人と仕事をするわけではなく、新しい人と仕事をすることもあるわけですよね。そう考えれば、毎日何かしらの新鮮さがあって楽しいですよね。だから仕事を楽しめているのだと思います。

また、お笑い芸人としてのオリジナルの価値を作ることを意識しています。僕達の様にベトナムに来て、ベトナムのお笑いを知って、ベトナム語でネタを披露できる日本人は他にはいないと思います。これは完全にオリジナルの価値だと思っています。そうなることを信じてベトナムに来たわけですし、自分達でそのオリジナルの価値を作っていくという気持ちがあります。

最後にこちらが一番大きいと思いますが、応援してくれている方の存在が支えになっていることですね。お笑い芸人は自分が好きでやっていますが、それ以上に応援してくださる方の返していきたいという気持ちの方が大きいですね。それは、ベトナム人のファンの方であったり、日本の時からの日本人ファンの方であったり、地元の方であったり、家族であったりと。
返したい人がたくさんいるということは、幸せですよね。

周囲への人への感謝の気持ちがご自身の支えにもなっているのですね。最後の質問になりますが、中川さんにとって「お笑い」とは何でしょうか?

お笑いってほんの僅かかもしれないですが、困っている人や悩んでいる人のサポートになるのかなと思っています。お笑い自体が、問題解決の回答になるわけでないのですが、笑うと心に余裕が生まれて落ち着いて問題と向き合うことが出来るようになるからではないでしょうか。

中学生の時に進学校に行こうと受験勉強していたのですが、周りからはずっと「無理だよ。」と言われ続けていました。頑張ってもテストの点は伸びないし思春期でもあったので、すごく落ち込みましたね。その中で大好きなお笑いを見て思いっきり笑うと、何だかスッキリしてまた頑張ろうと思いましたね。そんな風に泣きながら笑いながら、お笑いと過ごした時期でした。
そのお笑いが出来ている今は、何よりも幸せだと思います。

お笑いは、周囲の人だけではなく自分自身も笑顔・幸せにしますね。人が生きる上では、水と同じぐらい必要不可欠なものかもしれませんね。これからもダブルウィッシュ様のベトナムでのご活躍を楽しみにしています。本日は、インタビューをありがとうございました。

 

会場提供にご協力いただいたホーチミン市の不動産会社N-Asset Vietnamの杉本様も一緒に記念撮影(左:福田 中央:中川様 右:杉本様)<br /> N-Asset Vietnam様はダブルウィッシュ様の住居手配もされております。

会場提供にご協力いただいたホーチミン市の不動産会社N-Asset Vietnamの杉本様も一緒に記念撮影(左:福田 中央:中川様 右:杉本様)
N-Asset Vietnam様はダブルウィッシュ様の住居手配もされております。

 

<会場提供にご協力いただきましたN-Asset Vietnam(エヌアセットベトナム)様のご紹介>
N-Asset Vietnam(エヌアセットベトナム)は2011年12月から賃貸仲介事業をスタート致しました。
日系企業や日本人駐在員のお客様を中心に賃貸オフィス、賃貸住宅の仲介をこれまで数多く行っております。日本・ベトナムで不動産賃貸業務、管理業務の経験があるホーチミン在住の日本人と、不動産賃貸業務に精通しているベトナム人にて、最適な物件を紹介し、ご入居後も質の高いアフターサポートを行っています。
2015年7月1日の改正住宅法以降、外国人による住宅所有の制限が緩和されたことを皮切りに、売買仲介事業もスタートし、購入目的(居住用・投資用)に応じた売買物件のご紹介も行っています。

N-Asset Vietnam(エヌアセットベトナム)様ウェブサイト: https://n-asset-vietnam.vn/
N-Asset Vietnam(エヌアセットベトナム)様求人情報 | 採用活動予定あり: https://aspirationvn.com/job-search/saiyouyotei-5006/

 

<編集後記>
お笑い芸人という職業・生き方は、私達(一般人)とは遠い世界の話だと思っていました。しかし、今回の中川様に「決断」や「継続」の背景をお伺いすることで、私達が人生を送る上で共通する点がたくさんあることに気付かされました。
今回のインタビューのタイトルは、『お笑い芸人 ダブルウィッシュ中川様から「人生」の「決断」と継続を学ぶ』としました。それは今後のより変化の激しい激動の世界の中で、私達が自分の「決断」「継続」を信じて生きること、つまり自分がどうあるべきかを自分自身が決めることが大切だと考えたからです。
中川様のお話をご自身に置き換えることで、過去の自分をより深く知ることができ、未来の自分がより具体的になったのではないでしょうか。繰り返しになりますが、今回のインタビュー記事を通じて皆さまが何か一つでも気付き・ヒントを得ていただければ幸いです。