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日本人採用担当者のリアルな本音

2018/11/19

第3回 | 日本人採用担当者:ベトナム採用活動編
なぜベトナム転職したいのか?その転職に共感はあるのか?
Nさん(男性 / 40代前半 / ベトナム歴5年以上 / ホーチミン)

本日は、インタビューをよろしくお願いします。これまでにNさんの会社は日本人の現地採用は何回行われたのですか?

過去に2回しました。1回目に採用した方は、実際に働く中で双方にとってミスマッチであることが分かり双方合意の上で雇用契約を解除しました。その後、引き続き日本人人材が必要な状況でしたので2回目の採用活動を行い、無事に採用しまして、今のところ採用は成功かなと感じています。

実際に日本人現地採用の採用活動をされてみて、率直な感想を教えていただけませんか?

求職者の方は玉石混淆と申しますか、色んな方がいた印象ですね。1回目の採用活動では採用活動自体を甘く捉えていた点がありミスマッチとなりましたので、やはり採用活動は慎重に進めないといけないと感じました。

求職者の方に色んな方がいたとのことですが、具体的にはどのような人がいたのですか?

その業界で必要とされる専門スキル・技術や一般的なビジネススキル、あとは転職への意識の部分など様々な点で、その能力・スキルが高い人から低い人まで色んな方がいるなと思いました。正直に言うとピンからキリまでいるなという感じです。

弊社の採用では何か特定の技術スキルが必要なスペシャリストを募集していたわけではなく、日本人のお客様からのご要望を社内のベトナム人スタッフへ指示し、管理するという業務が多くなります。そのため総合的にビジネススキルの高い人、または業界未経験であってもその素養や伸びしろがある人を採用したいという背景があり、求職者の方の能力・スキルを全般的に見ていましたのでそう感じたのかもしれません。

では、なぜそもそも日本人の現地採用を行ったのかきっかけを教えていただけませんか?

弊社の場合ですが、事業拡大で人手が足りないからというわけではありませんでした。日本本社からの仕事だけを対応するのであれば日本人は私一人で充分な体制です。但し、これからベトナム国内市場もターゲットにすることを考えた時に、内部の体制をもう少し整える必要があると感じました。

私一人で会社の業務や仕組みを体系化しようとしても、私はベトナム法人設立時からいることもあり、全てが私に紐づいてしまい私に依存した仕組みになってしまうなと思いました。そうなると、例えば人事異動で私が日本に帰任すると同時にその仕組みが無くなってしまうリスクがあるわけです。

そうならないように、また今のうちから仕組み化するためには、新たに日本人を入れてその人と共に仕組みを作っていこうと考えたことがきっかけですね。その際に、日本本社からの出向者というのも選択肢というのもありましたが、これは人件費などのコストの問題もありましたので日本人の現地採用という形を選びました。

では、どうやって日本人の方を採用されたのでしょうか?

人材紹介会社を利用しました。利用したのは2社です。私はベトナムにもある程度長く駐在しており、業者の担当者の方も知っていますので、会社というよりも担当者の方で選びました。

Nさんが人材紹介会社の担当者の方を選ぶ際に、どのようなポイントで選ばれたのですか?

ご依頼させていただいた方とは知り合いでもあるので、その方との過去のやり取りの実績とキャラクターですかね。その方達なら今回の採用で弊社の募集要件を理解してくれている気がしましたので、そのお二人に依頼しました。

募集要件の理解とは、Nさんの会社のビジネスモデルや業務内容を理解しているということでしょうか?

はい。求職者の案内に関しては、それを理解してくれていることが大前提になりますからね。加えてその後の面接調整のやり取りなどをスムーズに進めてくれそうな人ですかね。

そうなりますと、人材業界が未経験や社会人経験が浅い担当者は、Nさんの依頼候補からは外れるということでしょうか?

そうですね。別に、新しい人や若い人が総じて悪いというわけではありません。但し、ベトナムの人材紹介会社は担当の方が頻繁に変わることが多い印象があります。そこに、業界経験はもとより社会人経験自体が浅く、ベトナム事情にも疎い方が来て、さらには引継ぎまで甘かったりすると、コミュニケーション上で支障が出て時間をロスするだけでなく、採用というミッション自体に影響を与えてしまいます。

それから私見ですが、ベトナムにおける人材紹介業務は日本よりも難易度は高くなるのではないかと思います。ベトナムではどの企業にも必ずベトナム人の社員がいて、ベトナム人と一緒に仕事をするという特徴があります。なので、業界・社会人経験が少ない方であれば尚のこと、ベトナムの市場やトレンド、人材や採用活動そのものに強い好奇心や価値観を感じて多くの人と会ったりするなど、毎日のように自分の足を使って情報収集をしたいという人。また、自身の業務に対して信念と情熱を持って当たれるような方でないと、わざわざ海外まで進出している企業や独立して経営している企業の採用責任者とは、温度感の違いとでも言うのでしょうか、根本的に合わないような気がします。

確かに、担当者の方が頻繁に変わるというお話は聞いたことがあります。しかし、人材紹介会社の担当者が若くて未経験の方でも人材紹介会社にはノウハウがあったりしますので、そのノウハウでカバーできるという点もあると思いますが、それに対してはどうお考えですか?

私は人材紹介会社の業務実態は詳しく知りませんので、こちらも想像の点が多くなりますが、例えば営業フローとスクリーニング業務がマニュアル化されているとして、営業フローについては、まず企業にヒアリングをして募集要件を洗い出し、その後、社内で求職者のスクリーニングをする担当者に、その要件を伝える業務が発生するのかと思います。

そしてスクリーニングでは、その人材紹介会社のデータベース内の項目やキーワードによって一次選定を行うと思いますが、データベースの検索項目にはない定性的な情報、例えば、履歴書や職務経歴書の書き方、実際会って話した時の印象や志向性などを、どこまで汲み取るかは担当者個人の資質にもよるのではないかなと想像しています。そのようなスクリーニングでないと、企業と求職者の間で共感が持ち合えるような紹介に繋がらないのではないかと思います。

確かに、経験・スキルや給与などの条件だけが一致していることと、企業と求職者が共感していることは別ですね。では、Nさんがご依頼された中で、Nさんの要望する求職者の方のご提案はスムーズに来たのですか?

そうですね、人材業界の経験が豊富な方に依頼していましたので、早い段階でイメージしたような方を紹介していただき、比較的スムーズに進んだかなと思います。

比較的スムーズに進んだとのことですが、期間としてはどのくらいかかりましたか?

だいたい2ヶ月ぐらいですね。依頼をして早い段階で、今採用した者をご紹介いただいて、Skype面接、現地面接をして内定という流れですね。あとは、その人は過去にベトナムで働いた経験もあったので、ベトナム生活に関するリスクが少ないと判断できましたので、選考結果を早く出せたということもあるかもしれません。

募集要項はNさんの方で作成されたとお伺いしております。一般的には、人材紹介会社がヒアリングをして作成する場合が多いですが、Nさんご自身で募集要項を作成されたのはなぜですか?

一般的にどちらが作成することが普通なのかは分かりませんが、そもそも採用活動を行おうとする前に必要な人材像や入社後のミッション等のイメージはあったし、どのみち入社後はすぐに具体的な指標求められることになるだろうからついでに準備したというだけで、別段、人材紹介会社さん向けに作っているというつもりはなかったです。

人材紹介会社さんには、欲しい人材像について説明したりヒアリングを受けたりすると思いますので、弊社の募集要項をお出しして済むのであればお互いに時間の節約にもなりますし、理解が深まることで齟齬も減るかなとは考えています。 それから紹介会社さんを使うということは、自社で探せない、多くの選択肢から選びたいという理由だけでなく、急いでいるからというケースがほとんどであることから、該当する人材が人材紹介会社のデータベースにあるのかないのかをまず先にご判断頂きたいので、その人物像を早くお伝えすることができるという意味では、採用企業側で作成しておくことは良いのではないかと考えてはいます。

では、1回目の反省を踏まえて、2回目の採用で気をつけようと思った点があれば教えていただけますか?

まず、自分の中で「やる気があれば何とかなる」という神話が崩壊したのが1回目の採用から学んだことです。それからは、「やる気がある」という言葉に不信感しか持たなくなりました(笑)。

要は、求職者から「やる気がある」という言葉を聞いた後、本人に対してその言葉の裏付けとなる根拠やロジックまでは聞いていなかったわけですね。当時は、日本人人材が欲しくて焦っていたというのもありますが。その反省を踏まえて、本人が言った発言に対してはその根拠をくどく確認するようになりました。

求職者の方へ質問をして深堀することで、その人の言っている発言が本物かどうかを見極めていたということでしょうか?

そうですね。ウソではないと思うので基準のズレについて確認するという意味ですけど。あとは、弊社では日本人の現地採用のみ記述回答式の筆記試験も行います。それは制限時間内で答える学力テストのようなものではなく、書類選考の段階で数日与えて求職者の方に考えて回答していただくというものです。志望理由や、実際のビジネスでの困難な状況を想定して、その時あなたならどうしますか?という設問になっています。設問は複数あって設問同士で微妙に関係性を持たせていますので、各回答の相関性も見て矛盾点がないかも確認しています。

また、回答内容からは、文章力、論理思考力、その人の主義・志向もイメージできます。その結果、共感が持てた求職者の方に、次の選考である面接に進んでいただいています。それを踏まえて、面接でも似たような質問をして、じっくり考えて書いてきたテストの答えと面接でとっさに出た答えが一致しているかどうかも見ましたね。

「共感」のある採用のために、求職者の方の本当の考えを知るということで、記述テストや質問の深堀をされているということですね。では、採用企業の立場から、現在ベトナム転職を考えている求職者の方へアドバイスはありますか?

日本からベトナムに転職に来られる20代後半~30代前半くらいの方を想定してのアドバイスとなりますが、ベースは日本と変わりません。その上でベトナム転職となると、まず、大前提として理解していなければならないことは、ベトナムはどんな能力の人でも働けるという法律がある国ではなくて、日本や諸外国同様に労働ビザの発給要件があります。簡単に言えば、ベトナムの日系企業で働いているベトナム人スタッフたちは、自分たちよりも仕事ができる外国人の先輩や上司が欲しいんです。今の会社で働き続けることで、他の友達より早く成長して、少し多めの給料をもらって、家族を幸せにしたいと考えていて、それをサポート、促進してくれるような日本人を待っている状況だということです。そういう人だらけの職場に飛び込むわけです。

思うように動いてくれなくて不満に思うこともあるかもしれませんが、スタッフの方も思うように成長できなければ、マネジメント能力のない上司を不満に思うだけのことであり、結局企業側も求職者側も本来の目的を果たせないという結果になるだけです。また、ベトナム人スタッフの方から言い訳を作って逃げ出すことはないので、そういう状況になっても逃げずにやる覚悟は最低限必要でしょうね。

それを踏まえた上で、自分がベトナム転職したい理由や、どんな分野で貢献できるのかについて、「なぜ?」を最低5回は繰り返して掘り下げ、自分の強みも弱みも含めて本質を見出すところまでは、転職活動前に行っていた方が良いと思います。

「なぜ?」を繰り返すことで、自身の本質を把握することになるわけですね。では、求職者の方が企業との「共感」のポイントを把握するためには、どのようなことを意識すべきでしょうか?

よく言われる「共感型採用」って「両想いのバランス」なので、判断軸や基準は良し悪しでなくて、お互いに合っているか、合っていないかって話ですよね。でも、限られた面接時間の中でそこをしっかりと確認し合うためには、まず自分自身がどうしたいのかを明確にしていなければできませんよね。そこで初めて、募集企業の求める要件や社風、仕事内容や待遇などと照らして、自分が一緒に働きたい、貢献したい会社を探せば良いかと思います。

ただ、矛盾した言い方になるかもしれませんが、入社後に自身の価値観が変わる、会社の方向性が180度変わるということも往々にしてよくある話ですので、柔軟性や鈍感力みたいなものが人一倍自信のある方の方が向いているんじゃないですかね(笑)。

他にも海外転職、ベトナム転職を検討中の求職者の方へ、何かアドバイスはありますか?

あとは、海外転職ということであれば、ワーク(仕事)だけでなく、ライフ(生活)の部分も含めて考えることですね。海外で働くということは、海外に住むということになります。土地や文化や食習慣が合わないなんてのはもってのほかで、就職どころかベトナムに来る資格すらないと思いますが、女性であれば結婚や出産や子育て、日本にいるご家族の都合、またはその人のどうしても譲れない趣味等で、日本に帰国しなくてはならない場合もあり得るわけですから。

企業側としても「この人は何年ぐらいベトナムにいてくれるのだろうか?」ということは採用時に考えます。 それは、ベトナム滞在期間が短いのが悪くて、長いのが良いということではなく、その求職者がベトナムにいる予定年数と、企業の採用計画がマッチしているかどうかの確認のためです。弊社の場合は、その人にある程度の権限を持たせてやってもらうポジションでしたので、1年では短く、最低3年は必要だと考えていました。あとは、採用コストとの兼ね合いも考えてという点もあります。 面接の際には、ワーク(仕事)だけでなくライフ(生活)の考え方についても、ぶっちゃけて話をして、お互いにしっかりと確認された方が良いと思います。

採用コストという言葉が出ましたが、採用活動におけるコストはどのようにお考えでしょうか?

人材紹介会社を使って日本人を1名採用するとなれば安く見積もっても紹介料50~60万円、人件費等々で年間300万円の投資判断となりますよね。ベトナム市場で高利益体質になるというのは簡単なことではないですから、その入口となる人材紹介会社選びにはどうしても慎重になってしまいますね。こうして採用企業側の事情をしっかりくみ取って頂けるご担当者の方であれば、終始一貫して話がブレることは少ないので、安心してお任せできるというわけです。

人材会社は「誰を採用したいか?」だけではなく、「なぜ採用するのか?」などの背景含めて企業様の事情を理解することが重要になりますね。続いて、Nさんに現地採用の方への教育・キャリアプランについてお伺いしたいと思います。

 

こちらのリアルな本音は、YouTubeでも公開しております。

 

次回(第4回)のNさんの「日本人採用担当者:ベトナムで共に働く編」は、こちら

<編集後記>
Nさんより、「共感型採用」という言葉を教えていただきました。ベトナム転職に限らず日本国内の転職も同じですが、応募資格を満たしているからだけで入社した場合は、働く中で何か違うなと感じた時に、その困難を越えることは難しいかもしれません。なぜなら、その仕事、会社に対して思いのある点(共感)がないため、困難を乗り越えようとも思わない可能性があるためです。しかし、これを防ぐのが人材会社の使命です。人材会社として、求職者様と採用企業様が何に共感を持つのか、そのポイントをヒアリングして引き出さなくてはならないと再認識させられるインタビューでした。

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